2022年3月– date –
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五色浜の四季
大橋のり
日が沈み始める頃になると、五色の海は桃色がかった赤に染まり、浜の五色の玉石は夕日を受けて静かに輝きます。五色浜は淡路島の西海岸にあり、美しい夕暮れの景色を鑑賞できる場所でもあります。穏やかな五色の海で育つ海苔は上品で繊細。中でも最初にと... -
歳時記
末の松山
契りきな かたみに袖を絞りつつ末の松山 浪こさじとは清原元輔訳)涙に濡れた着物の袖を絞りながら約束しましたよね。末の松山を波が超えることはありえないように、私たちの恋心も決して変わることがないと。 清原元輔は清少納言の父親で、この和歌は百人... -
酒好き達の酒器づくり
夢前に集う(3)
壺坂酒造で宴を楽しんだ後、彼らは夢前町の塩田温泉湯元である上山旅館へと向かった。 塩田温泉の歴史は古く、発見されたのは奈良時代と言われている。江戸時代の文献には『丹波、但州、 摂津、備前、四国地方より多数の湯治客ありて諸病の全治せしこと(中... -
歳時記
春の寝覚めのうつつで聞けば
田中保/ 猫 春眠不覚暁処処聞啼鳥夜来風雨声花落知多少春眠(しゅんみん)暁(あかつき)を覚えず処処啼鳥(しょしょていちょう)を聞く夜来風雨(やらいふうう)の声花落つること知る多少孟浩然/春暁より あたたかい春は四季の中でも一番寝心地がよく、朝... -
歳時記
春の心になる鳥
「ホーホケキョ」と甲高く鳴く声が聞こえると、いよいよ春が来たなという感じになります。鶯(うぐいす)の別名は「春告鳥(はるつげどり)」です。 古代から日本人に愛されてきた鶯は、その人気ぶりに比例するかのように別名が多く存在します。 経読鳥(きょう... -
歳時記
地名は過去と現代を繋ぐ
夢前町の雪彦山 1332年3月7日、この日は後に南朝初代天皇となる後醍醐天皇を隠岐へ流罪することが決定した日です。 兵庫県姫路市夢前町に山之内という名の地区があります。姫路駅から車で北へ約4、50分程走ったところにあり、今でも豊かな自然が残る山々に... -
歳時記
春霞
霞(かすみ)は空気中の細かい水滴や塵が原因で、遠くの景色がぼおっと霞んで見える現象を言います。目の前に濃く立ち込めるものは霧(きり)、薄く遠くに見えるものは霞。また、春は霞で秋は霧、夜は朧(おぼろ)など。日本語はその時々の「感じ」で、空... -
歳時記
啓蟄
二十四節気の一つ「啓蟄(けいちつ)」は、土の中に潜って冬ごもりしていた虫、ひいては蛇やトカゲ、蛙などが、暖かい気候につられて外に這い出てくる、という意味になります。2022年は3月5日が啓蟄に当たります。 土の中の生き物がうごめく啓蟄は、大地が動... -
酒好き達の酒器づくり
夢前に集う(2)
一同が壺坂酒造の座敷でお酒を愉しんでいる同じ頃、座敷の隣にある台所では二人の料理人が腕をふるっていた。紀風の城田とふしきのの荒巻である。彼らは東京でミシュランガイドの星を獲得している名店の料理長である。そんな彼らが白鷺サーモンをお造りに... -
歳時記
ひいなあそび
上村松園/御ひな之図 雛まつりの起源は、身代わり信仰だった「ひとがた」からきています。人の形をしたものを体に撫でて穢れを移し、それを川や海に流して「祓い」としていました。 この祓いの儀式として使われた人形が、かわいらしく美しい造形美へと進化...