酒好き達の酒器づくり– category –
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今西公彦展(2)
午後6時になるとギャラリー内は多くの人で賑わっていた。会場であるギャラリーのテーブルには、色も形も材質も年代も異なるたくさんの酒器が並べられた。この中から好きな物を一つ選 んで、今宵のマイ酒器とするのである。どれもギャラリーラボがお薦めす... -
今西公彦展(1)
冬山から風とともに冷気が里に降ろされ、壺坂酒造では酒の仕込みに慌ただしい日々が続いている。一方、播磨日本酒プロジェクトの面々は夢前を離れ、愛媛県西条市のギャラリーラボに来ていた。1月19日、このギャラリーでこれから一週間、今西の個展が開催さ... -
陶芸家・今西 (3)
今西の作品には古丹波に通じる精神性が内包され、然びの趣向を満足させるだけのものがある。だが、それだけではない。枯木に寒鴉(かんあ)あり、酒席に今西あり。彼は無類の酒好きである。酒好きの一流陶芸家が酒器を作るとその仕上がりはどうなるのか。我... -
陶芸家・今西 (2)
今西の拠点である丹波篠山は兵庫県の東部に位置する。丹波黒大豆などの特産物が知られる農業が盛んな地域であるが、古来より作陶も盛んに行われていた。丹波焼は平安時代末期から鎌倉時代の頃より歴史が始まり、1978年には国の伝統的工芸品指定を受けてい... -
陶芸家・今西 (1)
https://youtu.be/k8Y7DdSkUhE 年の瀬が近づき慌ただしくなる12月19日、夢前町は色あせた山に見渡す田んぼの稲は全て刈り取られ、枯れ草色の風景が広がっている。侘しく人気のない田んぼの真ん中に二人の男が立っ ていた。今西と飯塚である。 冷たく乾いた... -
酒造り始まる
北風が木の葉を払い落とし、山々が静かに冬を迎えようとする十二月上旬、壺坂酒造は酒造りに追われていた。 酒蔵の朝は早い。大型の蒸し器である甑を使って酒米を蒸す作業から一日は始まる。もうもうとした熱気が辺りに充満し、蒸し上がる米の香りが古い蔵... -
自然を守った男
https://youtu.be/LiKDili6-Ig 登場人物紹介 木の葉がすっかり赤く染まり、冷たい風が山から吹き下り始めた。山本弘と播磨日本酒プロジェクトのスタッフは、登山道整理と釉薬の材料採取のため、11月30日に雪彦山へ行く予定を立てていた。 30日の早朝、山本... -
【歴史コラム】伝説の百姓
江戸時代、圧政に堪え兼ねた百姓が反旗を翻す「百姓一揆」が全国各地で発生していた。兵庫県も例外ではなく124件あったようだが、そのうちの半数近い56件が播磨で起こってい た。普段は大らかでのんびりとしているが、いざとなれば血気盛ん、権力に簡単に... -
収穫
秋の夢前町は、稲穂が金色に輝き頭を重く垂らしている。10月3日、壺坂酒造には大勢の人が訪れていた。吉備国際大学の協力を仰ぎ、壺坂酒造の酒母(しゅぼ)造りが行われる酒蔵の2階で酵母菌採取が行われたのである。 蔵の柱や梁、土壁、百年前に酒造りに使用... -
流離いのクリエイター(交流篇 3)
翌朝、今西と岡と飯塚の三人はサンピアのレストランで朝食をとっていた。昨夜は午前3時過ぎまで呑んでいたにもかかわらず、元気な三人である。この日も好天に恵まれ、窓からは初秋の涼しげな朝日が差し込んでいる。 岡は食後のコーヒーを飲みながら、酒器...