木の葉の季節は?

小村雪岱/見立寒山拾得

「木の葉」は文字通り木の葉っぱのこと。歳時記では、散り落ちた枯葉という意味で、冬の季語となっています。
「木の葉」という言葉は古く、古事記でもこの言葉が見られます。

狭井川よ雲たち渡り畝傍山
木の葉さやぎぬ風吹かむとす

伊須気余理比売(いすけよりひめ)

ここでの木の葉は木に付いており、風にそよいでいます。枯葉ではないようです。
平安時代の後撰集には、次のような和歌が見られます。

うちつけにものぞ悲しき木の葉散る
秋の始を今日ぞと思へば

読人しらず

ここでは木の葉は秋の景色として詠まれています。
同じ頃に出た新古今和歌集では、木の葉は冬の歌に入っています。

おのづから音するものは庭の面に
木の葉吹きまく谷の夕風

藤原清輔

「木の葉」という言葉をどの季節に据えるか。まだ木に付いている木の葉は秋、散ったものは冬。「色」という字を添えれば秋、などと昔から様々な意見が言われていたようです。

秋になったり冬になったりしながら、現代では冬の季語として落ち着いていますが、年々によって異なる季節の変わり目のように、「木の葉」はゆるやかにあいまいに解釈されてきた言葉なのかもしれません。

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