花橘

五月待つ 花橘の香をかげば
昔の人の袖の香ぞする


よみ人知らず(古今和歌集)

五月を待って咲いた橘の花の香りは、あの人の袖と同じ香りがして昔のことを思い出します

橘(タチバナ)は柑橘類の一種で5月から6月頃に花を咲かせます。果実よりも花や葉に注目され、花は柑橘特有の高貴な爽やかさが好まれ、葉は常緑に永遠性があることで縁起の良いものとされてきました。雛人形の飾りとして桜と対で飾られる花でもあります。

「五月待つ——」は古今集に収録された、有名な花橘の歌。この歌は当時からとても人気があり、これを本歌として、近代まで様々な「花橘の歌」が作られました。

香りと過去の記憶がセットになって、懐かしい思い出がほのぼのと甦ってくるようです。

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