連載– category –
-
歳時記
春浅し
川合玉堂/竹渓浅春 暦の上では春になったとはいえ、2月はまだ寒く、春らしさはほんの少ししか感じられません。まだ春は浅い、そんな物足りなさのような心持ちを含む言葉が「春浅し」です。 春浅き だんだら小田の畔(くろ)の木のゆらぎ光りて芹(せり)つむ... -
酒好き達の酒器づくり
【歴史コラム】播磨の神々の我慢比べ
播磨国風土記には一風変わった神々の我慢比べが記されている。 大汝命(おおなむちのみこと)と少比古尼命(すくなひこなのみこと)が国造りのために播磨を巡っていた時のこと。大汝命が少比古尼命に我慢比べをしようじゃないかと持ちかけた。自分はトイレを我... -
歳時記
雨水
二十四節気の一つ「雨水」は、雪が雨に変わる、または雪が溶けて水になる頃、という意味です。2022年は2月19日にあたります。雨水は昔から農耕の準備をはじめる目安ともされてきました。雪が溶けて閉ざされた大地が顔を出し、季節は徐々に芽吹きの季節へと... -
酒好き達の酒器づくり
米が酒に、土が器に(3)
丹波篠山では今西が土の仕込みを行っていた。昨年4月に夢前で採取した土は、今西の手により長い時間をかけて陶土に精製されていたのである。 採取した土は、余分な水分を取り除くために土嚢袋に入れた状態で数ヶ月寝かしておく。適度に水分が抜けると袋か... -
歳時記
私のココロはそれほどぺらくない
立春も過ぎ、暦の上では春になりましたが、まだまだ寒い日が続きます。それでも池などに張った氷は以前よりも薄くなり、春の兆しを思わせます。初春に見られる薄く張った氷や、溶け残って薄くなった氷のことを「薄氷(うすらい/うすらひ)」と言います。 佐... -
歳時記
恋人たちの要望
昔は春の初め頃の風のない日に、山を焼く風習があちこちにありました。草刈り山を育てるためや焼畑などを目的として山を焼いていたのです。山焼は初春の農村の一大行事でした。 現代は山焼の風習はほとんど見られなくなりましたが、奈良の若草山焼など伝統... -
歳時記
春一番は命がけの漁師言葉
川合玉堂 – 出船 「春一番」とは、春の初めに吹く強烈な南風のことをいいます。 春一番の語源説はいくつかあります。石川県能登地方や三重県志摩地方では、昔から漁師言葉として、春の南風を「春一」と呼んでいました。1859年2月13日、長崎県五島沖で南風... -
歳時記
妓王
上村松園 – 静 妓王(ぎおう)は平安時代末期に活躍した白拍子(歌舞をする遊女)です。 彼女は滋賀県の田舎に生まれ、16歳で母と妹と一緒に当時の大都会・京都へ上京。無名の白拍子として生活をしていましたが、時の権力者である平清盛に見初められ、愛人と... -
歳時記
冴返る
小泉癸巳男 /浜町公園春雪 「冴える」は真冬の澄み切った寒さを表しますが、「冴返る(さえかえる)」は、春になってほんの少しゆるんだ気候が、また冬になったかのようにぐっと寒くなる様子を表します。春になったと少し安心した体が、急な寒気でまた強張... -
酒好き達の酒器づくり
米が酒に、土が器に(2)
壺坂酒造では酒米・辨慶を使った新しいお酒の仕込みが着々と進んでいた。先ずは辨慶(べんけい)を甑(こしき)で蒸し上げるのだが、辨慶自体が非常に少ない。試験場に残されていたわずか700gの籾を譲り受け、それを種籾として酒米を収穫したのである。来年栽...