連載– category –
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歳時記
あきつ
トンボは夏に現れ、秋の終わりにかけて里や野山を飛び回ります。蚊やハエ、蛾、時にはスズメバチなど害虫を捕食してくれる益虫でもあります。トンボは古くは「あきつ」と呼ばれていました。漢字にすると「秋津」。津は所属や位置などを表す格助詞で、「秋... -
歳時記
治水工事の祖・信玄
立春から数えて210日目のことを「二百十日」といいます。この時分は台風や強風で荒れる事が多いといわれ、治水整備がされていない昔はことさら警戒されてきました。今日は二百十日、季節の変わり目でもあります。 治水工事の祖と言われるのが戦国大名の武... -
歳時記
有事
第二次世界大戦中の日本では厳しい言論統制が行われ、個人の思想や行動は制限されました。国が個人を統制するだけでなく、個人が個人を監視し合い、攻撃するような社会でした……現代の何かに似ているような気がします。 大かた神は、物事大やうに、ゆるさる... -
歳時記
葛の花
葛はつる性の多年草で、つるを伸ばしてどこまでも生い茂っていく繁殖力旺盛な植物です。古くは薬用に使われたり、今でも葛粉として料理に使われたりされていますが、生命力が強く成長も早い葛は「やっかいな雑草」にもなっています。根が太く硬いため、除... -
歳時記
芙蓉の風
夏の終わりから秋にかけて咲く芙蓉の花。淡紅色のやわらかな花びらは楚々として美しく、古来より美女に例えられてきました。一晩で咲き落ちる性質から美しさの中の儚さも感じさせます。 明治生まれの歌人、山川登美子は旧家に生まれた才女で、当時一世を風... -
酒好き達の酒器づくり
東京から来た料理人(4)
壺坂酒造にて杜氏の壺坂 壺坂酒造ではこの日開催されていた蔵開きイベントがそろそろ終了しようとしていた。遅れてやって来た城田と関が壺坂酒造の店内に入ると、壺坂と飯塚が笑顔で出迎えた。お土産にと自家製のからすみを壺坂に手渡す城田。紀風の料理人... -
歳時記
稲の妻
雷はイナズマともいいますが、漢字で書くと稲妻。文字通り稲の妻(つま=夫=配偶者)という意味があります。稲の花が咲き出すのは夏の終わり頃。この頃は雷が多く発生することから、雷と稲が夫婦となり子(稲穂)をなす、という考えが古代からありました... -
歳時記
つくつくぼうし
つくつくぼうしは晩夏から初秋に現れ、夏の終わりを告げるセミとも呼ばれています。「ツクツクボーシ、ツクツクボーシ」と連呼する鳴き声に昔の人は色々な思いをのせてきました。 「筑紫恋し(故郷の筑紫が恋しい)」「美しよし」「つくづく惜しい」「つく... -
歳時記
〈処暑〉
処暑は「二十四節気」の14番目の節気で、暑さが止むという意味です。2021年は8月23日(月)〜9月6日(月)。この頃から秋らしさが少しずつ感じられるようになります。早朝、わずかな涼気に気づくこともあるかもしれません。 秋来ぬと思ひもあへず朝げより... -
歳時記
ささやかな楽しみ
たのしみは夕顔棚の下涼み 男はててら 女は二布(ふたの)して ててらはひざ丈の襦袢、二布は女性の腰巻きのこと。夏の暑い一日が終わり、夕顔を眺めながらの夕涼み。楽な服装になって夫婦でほっと息をつくひとときの情景が見られます。現代ではお風呂上...