歳時記– category –
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歳時記
ひいなあそび
上村松園/御ひな之図 雛まつりの起源は、身代わり信仰だった「ひとがた」からきています。人の形をしたものを体に撫でて穢れを移し、それを川や海に流して「祓い」としていました。 この祓いの儀式として使われた人形が、かわいらしく美しい造形美へと進化... -
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水温む
3月に入り、まだ風の冷たい日はあるものの次第に寒さがゆるんできました。 山の雪も少しずつ溶け出し、川や池などの水が、凍てつくような冷たさから何となく温かく感じられるようになってきたことを「水温(ぬる)む」といいます。 水草が生え出して、魚や... -
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悲しみ華やぐ
3月1日は大正・昭和初期の小説家・岡本かの子の誕生日です。 画家・岡本太郎の母でもあるかの子は、一般人とはかけ離れた生活をしていました。当時は奇抜だったボブヘア(断髪)に濃いメイクのモダンガール。料理や裁縫、お茶、生け花など、当時は出来て... -
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利休遺偈(りきゅうゆいげ)
戦国から安土桃山時代を生きた茶人・千利休は、秀吉の怒りを買い1591(天正19)年2月28日に切腹しました。この日は利休忌と呼ばれています。 千利休は一切の無駄を省いた「わび茶」を完成させた人です。茶道といえば精神修養でありながら、ある種風雅なたし... -
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春めく
沼田荷舟 2月の寒い中でも、春の兆しを感じられる瞬間が少しずつですが日に日に増えてきます。「めく」は「〜らしくなる」という意味を付ける接尾語で、「春めく」はいよいよ春らしくなってくる、という意味になります。 夏めく、秋めく、冬めく、と四季... -
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マルクスは今も生きているか
昭和11年(1936年)2月26日、若い陸軍将校達が軍隊を動かして政財界人を殺害し、クーデターを起こしました。二・二六事件です。 当時は世界大恐慌時代。日本全体が不景気で庶民は貧しい暮らしを強いられる中、一部特権階級は裕福であったことに、疑問と不... -
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不器男の世界
2月24日は、明治生まれの俳人・芝不器男(しばふきお)の忌日で不器男忌といわれています。不器男は「ホトトギス」の投句で高浜虚子に認められ、一躍有名となりましたが、26歳という若さで夭折しました。古語を駆使した情緒ある、内観的な作風が愛されていま... -
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炊煙の和歌
仁徳天皇陵古墳(大阪府堺市) 天皇誕生日は今上天皇の誕生を祝う国民の休日です。昭和23年までは天長節(てんちょうせつ)と呼ばれていました。日本の古い記録では、775年に光仁天皇の誕生日をお祝いしたことが文献に残されています。 日本の天皇は世界で... -
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世界初の憲法
622年2月22日に聖徳太子が薨去(こうきょ)しました。この日を偲び、聖徳太子ゆかりのお寺では太子会が行われています。 聖徳太子は十七条憲法を作ったことで知られていますが、これは成文憲法としては世界初のものです。 また、「和を以て貴しと為す」の一... -
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春浅し
川合玉堂/竹渓浅春 暦の上では春になったとはいえ、2月はまだ寒く、春らしさはほんの少ししか感じられません。まだ春は浅い、そんな物足りなさのような心持ちを含む言葉が「春浅し」です。 春浅き だんだら小田の畔(くろ)の木のゆらぎ光りて芹(せり)つむ...