ひいなあそび

上村松園/御ひな之図

雛まつりの起源は、身代わり信仰だった「ひとがた」からきています。人の形をしたものを体に撫でて穢れを移し、それを川や海に流して「祓い」としていました。

この祓いの儀式として使われた人形が、かわいらしく美しい造形美へと進化し、水に流すのではなく、家に飾って楽しむものへと変わります。

仄暗く地味で素朴な日本家屋に赤や黄色や桃色の雛人形を飾ると、とたんに春が来たように家の中がぱっと華やかになります。現代の住まいでは少し分かりにくい感覚ですが、昔の人にとって雛人形は、今とは比べ物にならないほど非日常感を演出するアイテムでした。

雛まつりは、もとは「ひいなあそび」と呼ばれていました。「あそび」とは古語で、神前で舞をしたり歌を歌ったりする神あそびのことを指します。
かわいらしい雛人形であそび、神様を迎えて、子ども達の健やかな成長を祈る、日本らしい情緒が雛まつりには溢れています。

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