道草
著者:旅する生物学者
旅の研究をしている生物学者。学問を追求する旅の途中である彼が、研究の傍らに寄稿する「道草」は、私たちが知らない科学と哲学の世界へと導いてくれる。好きなものはやきものと日本酒。
〈自己紹介〉
-誰でも自分だけがぶつかっている特殊な問題がある。そういうものを究めてゆくことが学問だ(三木清、哲学者)
してみると、学問は極めて個人的なものであるということになる。一見それらしく見える科学や芸術を生業としていても、「自分だけがぶつかっている特殊な問題」を究めようとしていなければ、その科学者や芸術家は学問していることにならない。例えば「社会ニーズ」という大衆的な問題を活動の根底におく科学者や芸術家は、学問していることにはならないというわけです。また、学問は学者だけの特権ではないということにもなる。個人的な問題が根底にあれば、それを追求する方法は何でもよいわけだ。科学でも、音楽でも、陶芸でも、料理でも、経営でも。
私はこの見解に賛同する生物学者であり、「自分は何故いまここに存在し、このように振舞うのか」という極めて個人的な問題を研究しています。そして、同じように学問の道を歩んでいる多様な分野の専門家の仕事や思考と交わることを心底愛する者でもあります。こうした交わりは、この孤独な生き方にとって重要な養分となるからです。
その様な方々が集うこのサイトへの寄稿をご依頼いただき光栄です。皆さまどうぞ、よろしくお願い致します。
※旅する生物学者さんの寄稿は本サイトの投稿の中では「とても長い」方ですが、文中に散りばめられた独自の哲学は興味深く、読むに値する名文です。ぜひお時間のある時に、お気に入りの飲み物を傍にじっくりお読みください。