自然を愛する山人 / 山本弘

夢前の自然を愛する会・会長
山本弘
兵庫県自然保護協会理事 姫路支部長、兵庫県自然保護指導員、環境庁自然公園指導員
兵庫県姫路市夢前町

自然を良く見て、触れ、臭いをかぎ、実を味わい、樹幹に耳を当て、風の音を聞く
自然と向き合うには五感を活用すること

目次

山本弘

山本氏は兵庫県姫路市夢前町の「夢前の自然を愛する会」会長であり、兵庫県自然保護協会理事 姫路支部長を務めるなど、兵庫県を中心に森林保全活動を行っている。
幼少時代は熊本県阿蘇の自然豊かな環境で、祖母と暮していた。祖母は薬草や山菜に詳しく近隣の人々から頼りにされる存在であった。人に頼まれると山へ薬草を採りに行っていたが、忙しい時は少年だった山本さんが代わりに山奥まで走ることも。事あるごとに祖母から「人の役に立つ人になりなさい」と言われながら少年時代を過ごしたという。

中学卒業後は集団就職で東京へ。後に大阪の親族が営む会社で大工となり、30歳で兵庫へ移り住む。少年の頃と変わらず山や植物が好きだった山本氏は、仕事の合間をぬっては山へ出かけ、図鑑を片手に知識を蓄えていくことに。後に自然保護活動に参加するようになり、70歳を超える現在も自然を守る活動の傍ら、植物や山の魅力を伝える活動を続けている。

自然を良く見て、触れ、嗅ぎ分け、実を味わい、樹幹に耳を当て、風の音を聞く──五感を活用して自然と向き合うことが大事なのだと山本氏は語る。

山本弘の自然との付き合い方

山本氏と夢前町を散策すると、歩きながら目に付く様々な植物について教えてくれる。食べられる山菜、鉢植えにすると美しい野草。植物に関する彼の話は尽きることがなく、次から次へと豊富な知識が溢れ出てくる。彼は地元の生態系を知り尽くしており、どこにどんな植物が生えるのかを全て把握し、頭に記憶しているのだ。

山本氏は夢前の自然について誰よりも熟知しているが、それを書き残すことは絶対にしないという。心ない人に知られると山の希少な動植物が根こそぎ持っていかれるからだと——それ故、彼は全てを頭の中に納めているのだ。自然を愛する彼は自然との付き合い方も当然心得ており、だからこそ自然を自身の一部と考えない現代のやり方に疑問を持ち、警鐘を鳴らし続けてもいる。多くの人に自然に興味を持ってもらい、ひいてはそれが自然環境を守ることにも繋がると信じて、彼は植物や山の魅力を伝える活動を続けている。

SHARE
  • URLをコピーしました!
目次