野菜農家 / 神﨑一馬

野菜農家
神﨑一馬
有機農園ばんごんじんじい 代表 / 兵庫県姫路市香寺町

種と野菜を 物語とともに 次の世代へと繋げる

目次

神﨑一馬

大学職員などを経て2010年に就農。少量多品目、有機肥料(有機JAS取得※)で作物を育てている。有機肥料栽培だからといって誰もが美味しい野菜を作れるわけではなく、作物には作る人の人柄や想いが現れる。彼が作る野菜はどれも味が濃く、旨味と深みがあり、人柄そのものを表したような大地のあたたかさが感じられるものばかりである。

※国が定めた有機食品の検査認証制度で農薬や化学肥料などの化学物質を使用せず栽培された食品であることを示すもの。

伝統野菜

ばんごんじんじいでは在来種や先祖伝来、伝統野菜などと呼ばれる野菜を育てている。これらは昔から食べられてきた野菜であるが、近年は採れる量が少ないことや流通に乗せにくいなどの理由で栽培されない傾向にある。
800年前に平家の落ち武者が隠れ里に持ち込み、現在まで育て続けたと言われる平家大根。ひいおばあさんが嫁入りの時に実家から種を渡され、それを子や孫に食べさせるために大事に育て、今では百年以上の歴史がある菜っ葉。
伝統野菜にはどれも魅力的な物語と味わいがある。神﨑氏は、地元の高齢農家から受け継いだものや各地の在来種など、スーパーではあまり見かけないような野菜を数多く育てている数少ない農家の一人である。

種の自家採種

現代の農家の多くは種苗会社が取り扱うF1品種で作物を育てている。F1品種は一代限りのため、毎年種を購入しなければならないが、収穫が終わっても種を採取するまで育てる手間が省けるため、ほとんどの農家が毎年種を購入している。
神﨑氏は種を自家採種し、代々その品種を残している。きっかけは就農したばかりの時にお祖父さんからもらった作物の種。大玉に育ったものを選んで種を残してきたというマクワウリや、畑のすみでいいから植えておけと言われた強健に育つ菜っ葉など、それらを受け継ぐところから自家採種を始めた。今では地元や全国各地の在来種を50種以上育てているという。
「どこかで誰かが繋いでくれたからこそ、今この野菜がある」
先祖からの繋がりに感謝の気持ちをいだきながら次の世代に繋いでいくことに、彼は農家として信念と愛情を持って取り組んでいる。

種と野菜を物語とともに伝えていく

「種には必ずそれにまつわる物語がある」
神﨑氏は色んな人から伝統野菜の種を譲り受ける際に、その種にまつわる物語も一緒に受け継いでいる。伝統野菜の奥深さ、残してくれた先人への敬意、種を継承する意味を広く知ってもらうために、講演やイベントなどでそれらの物語を話すことも。また、子どもたちに農業や食の大切さを伝えるために、農業体験も実施。種や野菜にまつわる物語を伝える活動を、多岐にわたって行っている。


有機農園ばんごんじんじい
〒679-2152 兵庫県姫路市香寺町行重85-1
Fax : 079-232-1331
E-mail : kazumapalya@hotmail.com

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