連載– category –
-
酒好き達の酒器づくり
流離いのクリエイター(雪彦山篇 2)
登山道はいきなり下り坂であった。急勾配の坂を下ると、ほどなくして平坦な山道に辿り着く。 凹凸もさほどない歩きやすい一本道である。これぐらいなら山道に不慣れな者でもいけそうだ。 今しがた降りてきた坂を見上げると登山口は遥か上にあり、もはや道... -
歳時記
〈秋分〉
上村松園 /小野小町図 二十四節気の一つ「秋分」。2021年は9月23日からとなります。今日は昼と夜の長さが同じで、これから次第に夜が長くなっていきます。 秋の夜も 名のみなりけり逢ふといへばことぞともなく明けぬるものを小野小町/古今和歌集訳)秋の... -
歳時記
座布団の美
昔ながらの日本家屋では、夏の間は涼をとるための建具や敷物をあつらえ、秋口にはそれらを片付けます。「葭戸蔵う」「簟(たかむしろ)の別れ」などといい夏の建具を片付けると、しまい込んでいた襖や障子を出して取り付けます。 現代の住宅では建具を変え... -
歳時記
仲秋の名月
古来より日本人は春は花(桜)、秋は月を愛でてきました。今日は仲秋の名月です。 月夜よし川音(かわと)さやけし いざここに行(ゆ)くも去(ゆ)かぬも遊びて行(ゆ)かむ大伴四綱/万葉集 大伴旅人が奈良の都へ帰ることになり、彼のために餞別の宴が催... -
歳時記
敬老の日を作った村
「日本の棚田百選」に選定された多可町の岩座神の棚田(いさりがみのたなだ) 今日、9月20日は敬老の日。1965年に国民の祝日として定められました(当初はハッピーマンデー導入前の9月15日でした)。 この敬老の日は、兵庫県の山奥にある村の人たちの思い... -
歳時記
竹の春
竹は筍が出る春に落葉し、秋に若葉を出します。他の植物とは逆の現象を見せることから、秋の竹を「竹の春」と言ったりします。今時分に竹林に行くと、爽やかな淡いみどりにあふれ、清々しい気持ちになります。 おのが葉に 月おぼろなり竹の春蕪村 -
歳時記
運がよくなる方法
運がよくなる方法、気になりますか? 運の本質は漢字に現れています。運という漢字は「軍」と「辶(しんにょう)」でできています。「軍」は戦を表します。「辶」は足と十字路の象形文字であり「行く、動く、巡る」という意味があります。 すなわち、戦い... -
酒好き達の酒器づくり
流離いのクリエイター(雪彦山篇 1)
大木が陽を遮り、日中でもほの暗い山の奥。人の三倍くらいあろう大きな岩はしっとりと苔むし、聞こえるのは勢いよく流れる渓流の音ばかり。 「ワァ────!」 静かな山中で叫び声が響き渡った。そして、川沿いにある急傾斜の登山道を勢いよく滑り落ちていく... -
歳時記
菊の色目
四季の移り変わりを表す日本ならではの配色方法を襲色目(かさねいろめ)といいます。主に衣の表地と裏地の配色に使われてきました。秋の襲色目に多く取り入れられているモチーフは「菊」です。単純に花の色だけではなく、菊の微妙な表情を配色の妙で表現... -
歳時記
柿渋でコロナ対策
柿渋は防水、防腐、防虫、防湿効果があり、昔から染料や建築の塗料、衣類や雨傘、紙の補強、酒袋、漁具の防水など様々な用途に使われてきました。柿渋は日本の生活に欠かせない自然の薬剤でした。 現代では安価で便利な化学薬剤がたくさんあるため、柿渋の...