【歴史コラム】播磨の神々の我慢比べ

播磨国風土記には一風変わった神々の我慢比べが記されている。

大汝命(おおなむちのみこと)と少比古尼命(すくなひこなのみこと)が国造りのために播磨を巡っていた時のこと。大汝命が少比古尼命に我慢比べをしようじゃないかと持ちかけた。自分はトイレを我慢するから少比古尼命は重い土を担ぎ歩いて、どちらが長く我慢できるか勝負しようというのだ。

勝負を始めて数日後、とうとう我慢できなくなった大汝命が大地に屈みこんで用を足し、それを見た少比古尼命は爆笑、その勢いで土を放り投げた。その土が瓦や陶器の原料となる埴(はに)だったという。播磨の土は米作りに適しているだけではない。陶器にも最適な土が採れたという事実が風土記には記されているのだ。

他の歴史書とは一風異なる、播磨国風土記ならではのユーモアと笑いに満ちた伝承である。そして、この物語に登場する神々の神様感ゼロの行動に、現代の播磨人達の特性がうっすらと垣間見えるような、そんな思いを抱かせる一話でもある。

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