酒好き達の酒器づくり– category –
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酒好き達の酒器づくり
あとがき・その後
この物語がインスタグラムで発表された2019年時点では、酒器の試作品が作られたところで話は終わっていたが、2020年6月、今西の手によって酒器の第一弾が完成した。 物語では多くの有名無名の実在の人物が登場する。彼らが笑い、呑み、今を精一杯生きる、... -
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新酒お披露目会
桜の木が若葉を装い、軒下にはツバメが居場所を求めて飛び交うようになった4月13日、壺坂酒造の酒蔵で、播磨日本酒プロジェクトの新酒お披露目会が行われた。 お披露目会には坊勢島の漁師・小林と前田が鮮魚を手に島からやって来ていた。前田は壺坂酒造の... -
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夢前に集う(3)
壺坂酒造で宴を楽しんだ後、彼らは夢前町の塩田温泉湯元である上山旅館へと向かった。 塩田温泉の歴史は古く、発見されたのは奈良時代と言われている。江戸時代の文献には『丹波、但州、 摂津、備前、四国地方より多数の湯治客ありて諸病の全治せしこと(中... -
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夢前に集う(2)
一同が壺坂酒造の座敷でお酒を愉しんでいる同じ頃、座敷の隣にある台所では二人の料理人が腕をふるっていた。紀風の城田とふしきのの荒巻である。彼らは東京でミシュランガイドの星を獲得している名店の料理長である。そんな彼らが白鷺サーモンをお造りに... -
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夢前に集う(1)
3月17日、春風とともに姫路駅の新幹線ホームに一人の男が降り立った。すらりとした背格好に爽やかな笑顔、颯爽とホームを歩く男の後ろ姿は澄み渡る風のようである。そして背中に背負った大きなバッグには、使い込んだ銅鍋が爽やかにくくり付けられてあった... -
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【歴史コラム】播磨の神々の我慢比べ
播磨国風土記には一風変わった神々の我慢比べが記されている。 大汝命(おおなむちのみこと)と少比古尼命(すくなひこなのみこと)が国造りのために播磨を巡っていた時のこと。大汝命が少比古尼命に我慢比べをしようじゃないかと持ちかけた。自分はトイレを我... -
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米が酒に、土が器に(3)
丹波篠山では今西が土の仕込みを行っていた。昨年4月に夢前で採取した土は、今西の手により長い時間をかけて陶土に精製されていたのである。 採取した土は、余分な水分を取り除くために土嚢袋に入れた状態で数ヶ月寝かしておく。適度に水分が抜けると袋か... -
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米が酒に、土が器に(2)
壺坂酒造では酒米・辨慶を使った新しいお酒の仕込みが着々と進んでいた。先ずは辨慶(べんけい)を甑(こしき)で蒸し上げるのだが、辨慶自体が非常に少ない。試験場に残されていたわずか700gの籾を譲り受け、それを種籾として酒米を収穫したのである。来年栽... -
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米が酒に、土が器に(1)
「皆さん、ギャラリーラボではありがとうございました! 忙しいなか大変お疲れ様でした。厚く御礼申し上げます! 来てくださったお客様、ギャラリーラボの皆様に大変喜んでいただきました。播磨チームのプロの仕事に興味を持っていただいています。播磨チー... -
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今西公彦展(3)
『酒器と酒の会』が盛況のうちに幕を閉じた翌日、ギャラリーラボで今西公彦展2日目が始まっ た。朝から客足が絶えず、昨晩『酒器と酒の会』に参加して早速酒器を買いに来廊したお客様もいた。気になる酒器や器を手に取りながら陶芸談義が穏やかに交わされ...