土用に干すモノ
土用とは季節の変わり目の時期を指します。立夏・立秋・立冬・立春の前の約18日間が土用となります。
季節の変わり目は体調を崩しやすい時期。夏は鰻など精のつくものを食べたりして、暑い土用期間を乗り切ろうという訳です。今年の夏の土用は7月19日〜8月6日となります。
また、夏の土用は「モノを干す」時期でもあります。雨の多い日本は今も昔も湿気に悩まされがち。梅雨が終わったこの時期は、湿気を取り除き虫やカビを防いで殺菌をする絶好の時期だったのです。
田んぼは水を抜いて「中干し」をします。稲の根元を乾燥させて酸素を行き渡らせ健康に育てるためです。
梅干しを干すのもこの時期。気温が高く紫外線の強いこの時期に、三日三晩干し上げて殺菌をすることで長期保存が可能となる、昔からの知恵です。
衣類や本を干すことを虫干しといいます。陰干しして虫やカビの発生を防ぎました。
特に本の虫干しのことを曝書または曝涼と言ったりします。昔は本といえば和紙を使用していたため湿気を帯びやすく虫がつきやすいものでした。貴重な書物の保存に虫干しは欠かせず、日本では平安時代頃から年中行事として定着してきました。社寺の虫払い行事におまけでついてくる「宝物の一般公開」は、昔の人の楽しみにもなっていました。
曝書のやり方にも細かい手順があったようで、一つ一つを干していくのは大変な作業でしたが、「宝物公開」などのお楽しみ行事にしてしまうのはさすがの一言。大変な作業も遊び心で乗り切る知恵は見習いたいところです。