【10/9】稲刈り準備「てねる」を学ぶ
「素人達の米作り」は農業の素人だけで米を作るプロジェクトであるが、本当に素人だけでは何からどう進めていいかわからない。そこで兵庫県のプロ稲作農家の飯塚さんに指南をお願いし、遠方から電話やラインを通じてアドバイスをもらっていた。これまでも度々稲の現状画像を送っては確認してもらっていたのだが、とうとう彼から稲刈りのGOサインが降りた。土作りから始めて約7ヶ月、待ちに待った収穫の時がやってきたのである。
米作りメンバー達と相談した結果、稲刈りはメンバーの予定に合わせて、数日にかけて行うことになった。
稲刈り前日である10月9日、メンバーの一人である中下さんと原田は稲田に来ていた。中下さんは米作り企画が始まった当初から一番体を動かし米の成長を見守ってきた。いまや素人米作りメンバーの重鎮である。二人は明日の稲刈りに向けて、藁や稲架(はで)※の用意をするために、村の人達の稲刈りの現場にお邪魔させてもらっていたのだ。
※広島県安芸太田町では「はで」と言いますが、はさ、はざ、はせ、はぜ等、地域によって呼び方は異なります。
稲は鎌を使い手作業で刈っていくのだが、刈り取った稲は束にして稲架(はで)という台に数日かけて天日干しにする。むろん素人なので、稲を束にする方法も、稲架の作り方もわからない。そこで事前に村の人から藁の束ね方を教えてもらうことにしたのだ。藁を束にすることを広島県安芸太田町では「てねる」と呼ぶ。
教わった「てねる」を他のメンバーと共有すべく、中下さんを臨時講師にして説明動画を撮影した。この動画を米作りメンバーに送り、事前に予習をしてもらうのである。
すでに稲刈りが終わっている村の人から「てねる」ための藁を分けて貰いに行った中下さん。貰い受けた藁の中には取りこぼした稲もあった。こぼれ落ちる稲の粒を見ると、即座に拾い出す中下さん。この一粒一粒が来年に種になると思うと、拾って保管せずにはおれなかったようだ。
「苗箱2枚くらい蒔けるで」と笑う中下さん。
米作りを始めて数ヶ月。日に焼けて逞しくなり、軽トラも難なく運転できるようになった彼女は、すっかり農業者の顔になっていた。