鏡餅がうつすもの
丸いお餅を重ねててっぺんに橙をのせた鏡餅は、お正月の定番のお飾りです。
鏡餅はお正月にお迎えした年神様が宿る依代と言われています。鏡餅の名の由来は、日本神話に登場する三種の神器の一つ、八咫鏡(やたのかがみ)からきています。また、餅が二段に重なっているのは、それぞれ月と太陽を象徴し、陰陽を表します。
けふよりは我をもちゐの増かがみ
嬉しき影をうつしてぞ見る
源俊頼
鏡は見る人の姿だけでなく、影=魂をも表すと言われていました。鏡餅は二段あります。陰と陽、すなわち輝くような素晴らしい陽の部分も、心の奥底にある醜く残酷な陰の部分も、全てありのままに映しだすというのです。見ることができるでしょうか。
陰も陽も全て大切で必要なもの。だからこそお正月飾りに今も残されています。自分の心を奥底までありのままに観ることの真意が、鏡餅に隠されています。