ハロウィンは日本人の感性に近い?

10月31日はハロウィンです。日本では仮装パーティを楽しんだりしますが、昨今はコロナ事情もあり、オンラインゲームでの仮装イベントも定番となっています。

ハロウィンの期限は、古代ヨーロッパのケルト民族のお祭りにあります。
古代ケルトでは11月1日が新年で、大晦日にあたる10月31日はあの世とこの世が繋がり、先祖霊が帰ってくると考えられていました。同時に精霊や悪霊も闊歩するため、身を守るために仮面をかぶって火を焚く慣習もありました。日本で例えるなら盆と正月を一度に行うような感じです。ハロウィンは元々は1年の終わりに収穫を祝い、先祖霊を祀る大切な日だったのです。

古代ヨーロッパでは、ゲルマン系、ラテン系、ケルト系など多くの民族が暮らしていましたが、その多くは日本と同じ先祖崇拝でした。キリスト教が広がるまで、ヨーロッパは日本と同じような死生観を持っていたのです。

古代ヨーロッパの信仰では天地を創造した神様がいて、その子孫が自分達であると考えられていました。それは日本でいえば、天照大神が日本人の先祖であるのと同じ考え方です。

キリスト教が来る前のゲルマン人の考え方や生活様式は私が体験的にすでに知っていることと大幅に重なるのである。古代ゲルマン人の霊魂観と同じものを私の祖母も父母も知人も持っていた。古代ゲルマン人の家には千木(ちぎ:神社建築に見られる木の飾り)があり、樹木信仰もあった。
「底津石根に宮柱ふとしり、高天原に氷椽たかしり」という古代出雲の社の形容は古代ゲルマンの世界にもって来てもおかしくないのである。

渡部昇一「アングロサクソンと日本人」より

その後、ヨーロッパは先祖崇拝を捨て、一神教(キリスト・ユダヤ教)一色になります。一神教は唯一の絶対神であり、神と人との血の繋がりは断ち切られます。先祖が帰って来ることもなくなりました。

一方、日本では仏教が入ってきましたが、日本人は先祖崇拝を大事にしたまま仏教を取り入れました。神(先祖)も仏も同居させてしまったのです。

この宗教観の違いが民族の性質を大きく分けることになります。

古代ケルト人のお祭りであるハロウィンは、その起源を辿ると、今のヨーロッパ(アメリカ)の人々よりも、実は日本人の方が感覚的に近いところにあるのです。

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