木を守っているのは
実りの秋が終わり冬を迎えると、果実のなる木の高いところに一つだけぽつんと実が残っていることがあります。柿や柚子などの柑橘系の果樹に見られます。
これは、来年もたくさん実をつけるように、というおまじないの意味があるとか、小鳥の分を残しておくためだとか言われています。いずれにしても、全て取り尽くさず一つか二つは残しておくという風習が昔からあり、その残された実は「木守(きまもり)」と呼ばれてきました。
枯れ木にぽつんと一つ残された赤や黄色の実には、鄙びた可愛らしさがあり、灰色の枯れた景色に温かさをそっと添えてくれるようです。その小さな体で木の守りをしているんだ、と言われると、なんだか応援したくなります。冬野の小さな守り神です。