「生きづらさ」を「生きやすさ」に変えるのは

渋沢栄一/肖像

12月16日は「紙の日」です。抄紙会社(王子製紙の前身)が工場で運転を開始したことが由来となっています。
抄紙会社は洋紙を生産する会社です。これまでの手すきの和紙とは違い、大量生産できる洋紙工場ができたことで、出版が容易にできるようになり、間接的に教育水準の向上に繋がりました。

この会社を民間企業として独立させたのは「日本の資本主義の父」と言われる渋沢栄一。新しい1万円札の「顔」になる人です。彼は著書「論語と算盤」で、現代の生きづらさについて核心をつく記述をしています。

もし富める者も貧しい者とともに「思いやりの道」を選び、そして「思いやりの道」こそ人の行いをはかる定規であると考えて社会を渡っていくなら、百の法律があろうと、千の規則があろうと、そちらの方がすぐれていると思うのだ。

一見自由なようでいて、細かい規則や権利、人目によって生きづらさを感じている人は、ここ数十年でかなり多くなったのではないかと思います。その原因は、規則を作った一部の政治家や権力者にあるのではなく、規則を作らせるような世間を醸成させた一人一人の依存と恐れ、思いやりの欠如であるような気がします。

一人一人が自立して「思いやりの道」を歩めば、千の規則も不要になるのだと、渋沢栄一は時を超えて教えてくれます。「生きづらさ」を「生きやすさ」に変えていくのは私たち一人一人の思いと行動です。

SHARE
  • URLをコピーしました!
目次