冴ゆる

土屋光逸 /日比谷の月

「冴ゆる」という言葉には冷たく凍るという意味に加え、澄むという感覚も含まれています。混じり気のない凛とした透明な冷たさを感じさせる「冴ゆる」は、「冷たい」よりももっと鮮烈で情を廃した温度感や美しさがあるようです。身を切るような凍てついた冬の夜を連想させます。

月清み瀬々の網代(あじろ)に寄る氷魚(ひお)は
玉藻に冴ゆる氷なりけり

源経信

訳)月も凍るような冬の夜、身を切るように冷たい川に仕掛けた網代に寄る魚は、玉藻に冴える氷のように煌めいている。

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