こいつあ春から縁起がいいねえ〜
2月3日、今日は節分です。明日は立春となるので、節分はその前日。今は(特に都会に住んでいると)自然の移り変わりが分かりにくく、「明日は春が立つ」と言われてもピンとこないところが少なからずあります。けれども自然と共に暮らしていた昔の人は、いよいよ春がやってくる、という喜びや高揚感を節分の日に感じていました。
歌舞伎の「三人吉三巴白浪」の有名なセリフは、節分の浮き足立った明るい心境を軽快に表しています。
月も朧に白魚の
篝(かがり)もかすむ春の空
冷てえ風にほろ酔いの
心持よくうかうかと
浮かれ烏(からす)のただ一羽
ねぐらへ帰る川端で
竿の雫か濡れ手で粟
思いがけなく手に入る百両
ほんに今夜は節分か
西の海より川の中
落ちた夜鷹は厄落とし
豆沢山に一文の
銭と違って金包み
こいつあ春から縁起がいいわえ
江戸時代の庶民の節分は、年の数の豆を古いフンドシに包んで家の外に捨てて、それを厄払いとしていました。中には豆と一緒に小銭を入れたりする者も。それを貧しい人が拾い歩く、というのが節分の行事だったのです。
「豆や小銭ばかりが入った包みじゃなくて、金包み(百両)を手に入れた!こいつあ春から縁起がいいねえ〜」という訳です。