木槿の花
夏になると大輪で華やかな花を咲かせる木槿(むくげ)。木は三メートルほどに成長し、たくさんの花をつけるので、木が1本あると夏はその場がぱっと華やかになります。
次々とたくさんの花を咲かせるので夏の間中咲いているように見えますが、花一つ一つの命は短く、早朝咲いて夕方にはしぼんで落花してしまいます。品種によっては何日も咲いているものもありますが、いずれにしても儚いものの代名詞として使われることが多いようです。
それがしも 其の日暮らしぞ 花木槿
小林一茶
白木槿 言葉短く 別れけり
石井露月
潔いというかあっさりしているというのか。ぱっと咲いてはさっと散り、次々にたくさんの花が咲くので、儚さに含まれがちな悲壮感はあまりなく、一種の清々しささえ感じられます。夏の暑さにも負けずに咲きほこる逞しい花です。
歳時記では秋の花ですが、その華やかさは夏がぴったりのような気がします。