人気キャラとネーミングの法則
白くて冷たく、口に入れるとするっと喉を通り抜けていく。冷奴(ひややっこ)が美味しい季節になりました。
ところで冷奴の「冷」はわかるのですが、「奴(やっこ)」はいったいどういう了見で豆腐の名前についているのでしょうか。
奴は江戸時代の武家の家来で、「家つ子(やつこ)」が語源だといわれています。奴は普段は雑用をこなす平社員以下のポジションですが、大名行列の時には一躍、先頭に立って威光を示す花形になります。行列の先陣を切り、槍を持って独特の所作を行う威勢のいい奴は、庶民の人気物でした。
奴がはおっていた半纏(はんてん)には四角い釘抜紋が描かれていました。この紋が四角く切った豆腐に見えたことから、冷たい豆腐を「冷奴」、温めた豆腐を「湯奴(ゆやっこ)」と呼ぶようになります。
庶民の人気者が、同じく庶民に人気のあった食品の名前となったのです。人気キャラと食べ物のコラボは今も昔も鉄板です。