風鈴の音は涼しい?

風を受けてちりんちりんと音を奏でる風鈴は夏の風物詩。涼やかな音色には暑さを忘れて聞き入ってしまいます。

実際、日本人が風鈴の音を聞くと体感温度が下がったという実験結果もあるほど。「風鈴の音=風が吹いている=涼しい」という記憶は私たちの体内にしっかりとインプットされているようです。

しかし近年、風鈴の音を雑音と感じる人が少しずつ増えてきているとのこと。その理由は、幼い頃から電子音に囲まれた環境で過ごしていること、自然に触れることのない生活、クーラーなど空調設備が完備された屋内での生活環境、などが原因として挙げられているそうです。

確かに、風鈴の音だけを聞けばそれは単なる物と物がぶつかり合う衝突音にすぎません。そこに「何か」を感じ取るためには、夏の暑さや湿度、生い茂る木々やそこに透けて見える太陽の光、吹き出す汗に吹き抜ける風、虫の声や蒸し暑い夏の夜の月明かりなど、五感を駆使した「体験」が必要に思えます。その体験があって初めて、衝突音に意味が生まれるのでしょう。

日本人特有の情緒や感性は、一人一人異なる体験を大事にした結果といえるのかもしれません。
風鈴の音が涼しいと思える感性は、大事にしていきたいと思います。

 

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