簾と風と
簾(すだれ)は竹や葦などを編んで作られ、部屋の仕切りにしたり日よけにするために吊り下げて利用します。
程よく隙間が空いているため、風通しよく内外を遮る夏の調度品。日本人にはとても馴染み深く、様々な場所で涼を演出する夏のインテリアアイテムです。そんな簾の歴史は古く、奈良時代からすでに使われていました。
君待つと わが恋ひをれば わが屋戸(やど)の
すだれ動かし 秋の風吹く
額田王/万葉集
訳)
あなたを思いこがれて待っていると、家の戸の簾を動かして秋の風が吹いてきます
思い待ち続ける時、晩夏から秋への移り変わりを、風の動きが繋げます。風を可視化させるアイテムが簾です。日よけとも間仕切りとも違う役割が、ここにはあります。