有事
第二次世界大戦中の日本では厳しい言論統制が行われ、個人の思想や行動は制限されました。国が個人を統制するだけでなく、個人が個人を監視し合い、攻撃するような社会でした……現代の何かに似ているような気がします。
大かた神は、物事大やうに、ゆるさるざる事は、大抵ゆるして、世ノ人のゆるやかに打ちとけて楽しむを、よろこばせたまふことなれば、さのみ悪しくもあらざる者までを、なほきびしくをしふべきことにはあらず。さように人の身のおこなひを、あまり瑣細(ささい)にただして、窮屈にするは、皇神(すめかみ)たちの御心にかなはぬこと故、おほく其益はなくして、返って人の心狭狭しせばくこざかしくなりて、おほくは悪くのみなることあり。
玉くしげ/本居宣長
本居宣長は江戸時代の国学者。それまで歴史に埋もれていた古事記を研究して再び世に出した立役者です。古事記を研究する中で日本人が本来もつ徳を見出したのかもしれません。
アフガン情勢の混乱による各国の慌ただしい動きが連日報道されていますが、対岸の火事ではありません。
一人一人が揺るぎない「芯」を持ち、自分の目で見抜き見極めていくことが大事になっています。一人一人に芯(自立心)があれば、大変な時であっても「ゆるさるざる事も大抵ゆるして打ちとけて楽しむ」ことができるのだと思います。