朝顔/その2
豊臣秀吉と彼に仕えた茶人・千利休には、朝顔にまつわる有名なエピソードがあります。
黄金の茶室を作ってしまうほど派手好きなパリピ秀吉と、質素でクールな侘び寂びを好む千利休。価値観が違いすぎる二人が、ある夏、一緒にお茶をすることになりました。
千利休の茶室の路地に美しい朝顔が咲いていると噂を聞いた朝顔好きの秀吉は、その茶室で朝顔の茶会をしてほしいと利休に頼みます。
茶会当日の朝、たくさんの美しい朝顔が見られると喜んで出かけた秀吉。しかし千利休の屋敷に到着すると、路地の朝顔は全て切られて一つもありません。
予想外の事にショックを受ける秀吉。不機嫌になりつつも茶室に入ると、質素でほの暗い室内の床の間に、見事な朝顔がただ一輪、生けられていました。
このエピソードの締めには諸説あります。この演出に秀吉はいたく感激したと文献には残っていますが、実はかなり怒っていたんじゃないかという説も。
戦国武将相手の茶会は命がけ。相手の心と腹を探り合い、裏の裏をかくような命がけの遊びを孕んだおもてなしエピソードです。果たして秀吉は感動したのか激怒したのか、それとも……あなたはどう思いますか?