田植えを促す時鳥(ホトトギス)
春の花、夏の時鳥(ホトトギス)、秋の月、冬の雪が四季を代表する詠題とされるほど、昔の人にとっては馴染み深かった時鳥ですが、現代ではこの鳥を都会で見かけることはほとんどなくなってしまいました。
春から初夏にかけてやってくる渡り鳥ですが、昔は冬に山ごもりし、初夏になると山から出てくると考えられていました。鳴き声に特徴があり、甲高い声で「キョッ、キョ、キョキョキョ」と鳴きます。初夏の到来を告げ、また田植えの目安となる鳥として親しまれてきました。
いくばくの田をつくればか時鳥
しでの田長(たをさ)を朝な朝な呼ぶ
古今和歌集 誹諧歌 / 藤原敏行
「田植えを早くせよと土地の田を監督する長に催促するように鳴いている」と古代から詠われてきました。新緑の山林に響く甲高いふくらみのある声は、確かに何かを訴えかけてるようにも聞こえます。
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