小正月のケツバット
1月15日は小正月です。今ではすっかり影をひそめてしまった小正月ですが、秋田のなまはげ、奈良の若草山焼き、とんど、田植踊りなど、地域色豊かな風習が今も各地で行われています。
平安時代、小正月には小豆粥を食べる風習があり、その粥を煮た薪を削って作った棒「粥杖」で女性の尻を叩くと、元気な男の子を授かるという俗信がありました。枕草子には、小正月の楽しげな様子が描かれています。
15日、小豆粥でお祝いをした後、粥杖を隠しもって尻を叩くタイミングを見計らっている女たち、叩かれまいと警戒して後ろを気にしている女たちなど、皆んながお互いを気にしている様子がおもしろい。どうやったのか上手く叩けて皆で大笑いしたり、叩かれた者はくやしがったりと賑やかこの上ない。棒を持ってはりきってウロウロしている女房や、それを見てクスクス笑う女房たち。(中略)お姫様の背後にこっそり近づいて、尻を叩いては走って逃げていく女房。それを見て周囲の者はまた大笑い。(中略)女同士で叩き合って、とうとう最後には男まで叩いてしまう始末。笑ったり泣いたり怒ったり、高貴な宮中であっても今日だけは無礼講だ。
(枕草子より)
枕草子の粥杖の話を読むと、なぜか大晦日の「笑ってはいけない」のケツバットを思い出してしまいます。日本が誇る宮廷文学と高視聴率お笑い番組を結びつけては双方から怒られそうですが、共通点は以外に多く、笑いのツボは時を超えて普遍なのだとしみじみと感じ入ってしまいます。