初閻魔

河鍋暁斎/閻魔と地獄太夫図

1月16日は初閻魔です。閻魔は地獄の閻魔大王の略称で、この日は地獄の釜の蓋が開いて、鬼も亡者も一休みできる地獄の休日だと言われています。閻魔大王を祀るお寺ではご開帳や縁日が行われ、多くの参拝客で賑わいます。

仏教では、閻魔大王と地蔵菩薩は一心同体とされています。人を裁いて地獄に落とす閻魔大王と、人を苦しみから救う地蔵菩薩は一見反対のように見えます。なぜ同じなのでしょうか。

苦しみから救ってくれる地蔵菩薩は、あの世でも人々を救ってくれると考えられていました。それが、お参りをしたら身内や自分の罪を軽くしてくれる閻魔大王の信仰と同一視されるようになったためと言われています。なんとも都合のいい解釈ですが、これなら閻魔さまもお地蔵さまもすんなり拝んでしまいそうです。

地獄の冥府と言われる閻魔大王。その働きは非情と苦、恐怖ですが、その根底には気づかせ、見切り、見守るための深く強い慈悲があります。それは地蔵菩薩と同じものです。

恐ろしい閻魔大王がなぜ今でも大事に祀られているのか、ご開帳や縁日で多くの人に愛されるのか。その理由は、ご都合主義信仰の奥にある深いところにあるのかもしれません。

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