寒椿
厳寒の最中に咲く種類の椿を寒椿、冬椿といいます。
椿は寒い冬にあって、いち早く春の到来を感じさせる花として万葉の昔から愛され、和歌にも詠まれてきました。
巨勢山(こせやま)のつらつら椿つらつらに
見つつ偲ばな巨勢の春野を
坂門人足(万葉集)
訳)巨勢山に無数につらなり咲く椿の花を見て巨勢の春を偲ぼう
つらつら椿つらつらと、椿が耳に心地よく響きます。万葉の和歌は声に出して詠むもの。つらつらとリズムのある調べは、生き生きとした花色や艶やかな深緑の葉、春への期待や喜びを感じさせます。楽しい歌です。