冬柏
柏餅でおなじみの柏(かしわ)は落葉樹ですが、冬になって葉が枯れきっても落ちることなく、春になって新芽が出る頃にようやく葉を落とします。
冬の間ずっと木を守るように葉が付いていることから「葉守りの神」が宿る神聖な木とされていました。端午の節句の餅を柏の葉で包むのも、このような縁起からきています。
昔は食物を盛るための葉はすべて「かしわ」と呼んでいました。食、子孫繁栄、神宿りと、昔の人は柏に親しみ、色んな意味を込めて生活に取り入れてきました。
冷たい風にふきさらされて、からからと葉音をたてる冬の柏。その音と澄みきった冷たい空気、枯れきった大葉をつけた佇まいは、独特の美しい冬景色を生み出します。冬柏は基本「ふゆかしわ」と読みますが、与謝野晶子が刊行した「冬柏(トウハク)」のように、音読みで呼んでもきれいに聞こえます。