田植え=祭り!?

昔の田植えは、村の共同作業であり一大行事であり、神事でもありました。稲には稲魂(田の神様)が宿ると考えられていた古代日本では、そもそも稲作の行為自体が神事だったのです。現在でも「お米一粒に7人(または88人)の神様がいる」などと言われますが、その由来はここにあります。

田の神様は春になると山から降りてきます。神様をもてなすために、田植えの時には儀式や祭り、宴が行われました。歌い呑みながらお祭りのような賑やかさで田植えをしていたのです。田植えの際の歌や踊りから「田楽」が生まれ、それが後の「能」となります。今では敷居の高い伝統芸能も、始まりは神事であり、田植えの宴会芸だったのです。

神事でもありながら、大変な肉体労働である田植えを「お祭り」にして皆で乗り切ったプロデュース力。昔の人の鮮やかな知恵に驚かされます。田の神様もさぞや喜んだことでしょう。大酒を呑みほす姿が見えるようです。

「素人達の米作り」が行われている広島県安芸太田町の近く、山県郡北広島町壬生では毎年6月に「壬生の花田植」が行われます。「祭り」であった昔の田植えを今に伝える伝統行事で、日本の重要無形民俗文化財に指定されています。代掻きの牛は花で飾られ、早乙女らは赤い襷や腰巻きで花を添え、賑やかで華やかな様子から「花田植」の名がついたと言われています。

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