つくつくし

佐保姫の筆かとぞみるつくづくし
雪かきわくる春のけしきは

藤原為家

佐保姫とは春を司る女神のことで、春の季語にもなっています。改正月令博物筌(文化5年)には佐保姫について「春の造化の神なり。かたちあるにあらず、天地の色をおりなすをかりに名づけたるなり」と記されています。

為家の和歌は、春の野に顔をだした土筆(つくし)を、春の女神の筆のようだと詠っています。この頃は土筆を「つくづくし(つくつくし)」と呼んでいました。
暖かい陽だまりの野に、仲良く並んで次々と顔を出してくる土筆を見ると、「つくつくし」はぴったりの呼び名のような気がします。

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