蛍と共に
蛍を見るためには、山奥のきれいな水辺まで足を運ばなければなりません。昔は田んぼに行けば蛍は当たり前のように飛び交っていました。蛍が見られなくなった原因の一つに農薬の普及があります。
農薬のために蛍が居なくなる。米という現実、蛍という情緒、その両者は併存することは難しかろう。
團伊玖磨/「蛍」より
團伊玖磨が情緒の喪失を嘆いた昭和の頃よりも、いやまして情感が消えてしまった現代。現実と情緒のせめぎ合いの末、現実が競り勝ってしまいました。ここでいわれる「情緒」とは自然のこと。人があまりにも自然を差し置いて、自分達だけが生きていると思い過ぎた結果が今です。
人も自然の一部であると考える謙虚さがあれば、便利でスピード感のある現代を楽しみながら、蛍と共に生きることはできるかもしれません。
全体を考えられる賢さと強さ、謙虚な心と感性が、各々できる範囲で一人ひとりに求められているような気がします。数十年後の先にも蛍を見ることができるように。
自然を愛する山人 / 山本弘
夢前の自然を愛する会・会長山本弘兵庫県自然保護協会理事 姫路支部長、兵庫県自然保護指導員、環境庁自然公園指導員兵庫県姫路市夢前町 自然を良く見て、触れ、臭いを…