蛙のめかり時
つとめすと寝もせで夜を明かす身にめかる蛙の心なきこそ
藤原光俊
「蛙(かわづ)のめかり時」とは晩春の眠気をもよおすような季節のこと。カエルが人の目を借りる(目借り)から人は眠くなるのだといわれていますが、別の説では「妻(め)狩り時」カエルが雌を求める時期だともいわれています。
カエルによっては産卵後に一時活動が鈍くなる種があるようです。春になって冬眠から目覚めたカエルの声が、ひととき静かになる時期。それが晩春の眠気をもよおす時期と重なり、生まれた言葉とも考えられています。昔の人の自然に対する細やかな観察眼が見受けられる、晩春の言葉です。