不器男の世界
2月24日は、明治生まれの俳人・芝不器男(しばふきお)の忌日で不器男忌といわれています。
不器男は「ホトトギス」の投句で高浜虚子に認められ、一躍有名となりましたが、26歳という若さで夭折しました。古語を駆使した情緒ある、内観的な作風が愛されています。
あなたなる
夜雨の葛のあなたかな
芝不器男
夜雨の葛を見て遠く離れた故郷を思い、さらにそこに暮らす家族を思って詠んだ句です。
「あなた」は「遠い彼方」という意味ですが、「あなた」と呼びかけるようにも見えます。深淵な不器男の世界は静かに広がり、心の宇宙を垣間見るような気持ちにさせられます。