千鳥

千鳥はチドリ科の鳥の総称です。背は灰褐色でお腹は白く、砂浜など水辺でよく見られます。ちょこちょこ歩く姿がかわいらしく、群をなして「ちちちち、ピイピイ」と鳴く声が印象的です。

千鳥は春と秋に移動する旅鳥で、特に冬によく見られるというわけではないのですが、冬の風物として和歌や俳句などに取り上げられてきました。冬鳥のイメージを定着させるきっかけとなったのは、平安時代の歌人・紀貫之の和歌です。

思ひかね妹(いも)がり行けば冬の夜の
川風さむみ千鳥鳴くなり

紀貫之(拾遺集)

訳)思いがつのり恋人に会いに行く冬の夜、川から吹く風は冷たく、千鳥の鳴き声が心に沁み入る。

しめつけられるような思いを、冬の刺さるような風の冷たさにのせて詠んだ恋の歌です。

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