万葉のささ
笹(ささ)の葉は み山もさやにさやげども
我は妹思ふ 別れ来ぬれば
柿本人麻呂(万葉集)
笹(ささ)、さや、さやげ、と「さ」が何度も続きます。声に出して詠むと、笹の葉ずれの音が森閑とした山中にそっと響くのが聞こえるようです。
笹の葉は古代から神事に使われており、その葉ずれの音は神聖なものとみられていました。「さや」は「清」でもあります。
別れてきた人を思う心はザワついているように見えて、実はしんと澄み切っているようにも感じられるのが不思議です。万葉の名歌の一つです。
今日は二十四節気では小暑。七夕です。