マクワウリに子を思う
マクワウリは古くから栽培されている瓜の仲間で、メロンほどではないけれど甘みがあります。昔は瓜といえばマクワウリのことを指しました。
甘い瓜は昔の子どもに大人気。子どもへの愛情を綴った歌が「子等を思ふ歌」として万葉集に残されています。
瓜食めば子等思ほゆ。
栗食めばまして偲ばゆ。
何処(いづく)より来りしものぞ。
眼交(まなかひ)にもとな懸りて
安寝(やすい)しなさぬ。
山上憶良
恋や自然を題材にする万葉歌人達の中で、山上憶良は家族愛や生活苦、老いや死を歌にした当時では異色の社会派歌人でした。
甘い瓜や栗は子ども達の大好物で、食べると愛しい我が子を思い出す。そんな親の愛情を言葉にした歌です。